今日は、ベトナム最大の鉄鋼会社であるホアファットグループを取り上げます。
急成長している新興国といったら「鉄」。
インフラなど社会基盤の整備には鉄が欠かせません。
今日は、ベトナム株の中で、勢いのあるホアファットグループについてお話しします。
ホアファットグループとは
ホアファットの概要と事業
ホアファットグループは、鉄鋼を主力とした会社です。
1992年設立(建設機械商社として。1996年に鉄鋼事業に参入)。
2007年上場。
ティッカー【HPG】、ホーチミン証券取引所。
従業員は約25,000人。
主な事業は、次の4つです。
・鉄鋼
・鋼管・カラー鋼板
・農業(鶏卵・養豚など)
・不動産
事業別の売上の比率はこちら。
鉄鋼関係が84%、農業が12%、不動産が4%です。
鉄鋼がメインです。
会長と株式の外国人保有比率
ホアファットの会長はこちら。
会長であるチャン・ディン・ロンは、ホアファットを創業した6人のメンバーの1人です。
ホアファットの株を26.08%も有する大株主。
2020年のフォーブスによると、ホアファットの会長の個人資産はベトナムで3位とのこと。
資産18億USD。
それにしても、ベトナムの人って、男性も女性も写真で腕を組んでいる人が多いような気が笑
なぜなんだろう。
日本人が写真のときにピースをするようなものなのかも。
次に、株式の外国人保有比率はこちら。
株主の70%がベトナム人で、30%が外国人です。
外国人保有枠の制限が49%なので、まだ余裕がありますね。
生産量拡大へ
2021年には新しい高炉が稼働し、粗鋼生産量が台湾系のフォルモサ・ハティン・スチールを抜き、東南アジア最大になりました。
また、約4,000億円を費やし、2024年には新高炉を稼働させる計画もあり、粗鋼生産量が約1,400万トンに拡大する見込みです。
1,400万トンって言われてもピンと来ない人も多いと思うで、世界の主要鉄鋼会社と比較してみます。
主要鉄鋼企業の粗鋼生産上位30社のランキングはこちら。
社名 | 国名 | 2020年の粗鋼生産量(単位:百万トン) | |
1 | 中国宝武鋼鉄集団 | 中国 | 115.3 |
2 | ArcelorMittal | ルクセンブルク | 78.5 |
3 | 河鋼集団 | 中国 | 43.8 |
4 | 江蘇沙鋼集団 | 中国 | 41.6 |
5 | 日本製鉄 | 日本 | 41.6 |
6 | POSCO | 韓国 | 40.6 |
7 | 鞍鋼集団 | 中国 | 38.2 |
8 | 建龍集団 | 中国 | 36.5 |
9 | 首鋼集団 | 中国 | 34.0 |
10 | 山東鋼鉄集団 | 中国 | 31.1 |
11 | 徳龍鋼鉄 | 中国 | 28.3 |
12 | Tata Steel | インド | 28.1 |
13 | 湖南華菱鋼鉄集団 | 中国 | 26.8 |
14 | JFE Steel | 日本 | 24.4 |
15 | Nucor | アメリカ | 22.7 |
16 | 現代製鉄 | 韓国 | 19.8 |
17 | 方大鋼鉄集団 | 中国 | 19.6 |
18 | IMIDRO | イラン | 18.9 |
19 | 本渓鋼鉄集団 | 中国 | 17.4 |
20 | 広西柳州鋼鉄集団 | 中国 | 16.9 |
21 | 敬業集団 | 中国 | 16.3 |
22 | NLMK | ロシア | 15.8 |
23 | 包頭鋼鉄集団 | 中国 | 15.6 |
24 | SAIL | インド | 15.0 |
25 | JSW Steel | インド | 14.9 |
26 | 日照鋼鉄控股集団 | 中国 | 14.4 |
27 | 河北新華聯合冶金控股集団 | 中国 | 14.2 |
28 | 中国鋼鉄(CSC) | 台湾 | 14.1 |
29 | 中信泰富特鋼 | 中国 | 14.1 |
30 | EVRAZ | ロシア | 13.6 |
日本の最大手の日本製鉄が世界5位で4,100万トン、2番手のJFEスチールが世界14位で2,440万トンです。
それにしても、中国の粗鋼生産量がすごいですね。
まあ、最近、中国は粗鋼減産政策を進めているので、このランキングも大きく変わるかもしれませんが。
2024年に、ホアファットの新高炉が稼働すると、粗鋼生産量が約1,400万トンまで拡大する見込みなので、2020年の上記ランキングだと、世界30位に入ることになりますね。
ホアファットがめっちゃデカくなります。
なお、ベトナムにおける建設用鋼材の製造のシェアはこちら。
2020年に33%のシェアです。
圧倒的ですね。
ベトナムでは、経済成長に伴い、建設用鋼材の需要がさらに高まっていくと思われます。
最近の主な動き
オーストラリア鉄鉱山の権益取得と大型運搬船を購入
2021年に、ホアファットは、原料の安定調達を図るため、オーストラリア北部の鉄鉱山であるローパーバレー鉄鉱石鉱山の権益を取得。
年間採掘量が400万トンで、ホアファットの高炉での年間使用量の約40%も相当します。
また、輸送費を削減するため、鉄鉱石や石炭などの原料を運搬する船舶を購入しました。
コンテナ製造に参入
2021年、ホアファットは、輸送用コンテナの製造に参入することを発表。
2022年夏に生産を始める計画です。
自社で生産した特殊鋼を活用するため、価格競争力があるとのことです。
最近は、世界的にコンテナ不足が問題となっているので、機を見るに敏といえる対応だと思います。
家電子会社の設立
2021年9月、ホアファットは、エアコンや家電製品の生産・販売を手がけるホアファット家電会社の設立を発表。
うーむ、鉄鋼会社が家電って、なんか微妙のような気が。
シナジー効果があんまりなさそうです。
まあそれを言ったら、農業もそうですが笑
今後、家具事業みたいに撤退することになるかもしれませんね。
業績
業績はこちら。
2021年の売上高は、1Qが31,176.87、2Qが35,118.36、3Qが38,673.83です。
2021年1Qから3Qまでの売上高の合計で、2020年を上回っています。
めっちゃ急成長していますね。
ただ、今後は、2024年の新高炉が稼働するまで(つまり2022年と2023年)は、売上高が急激には伸びないかもしれません。
配当
配当の推移はこちら。
・2021年
100対35の株式配当と、1株あたり500VND(約2.5円)の現金配当
・2020年
100対20の株式配当と、1株あたり500VND(約2.5円)の現金配当
・2019年
100対30の株式配当
この株式配当がめっちゃ利益をもたらします。
ホアファットの場合、SBI証券だと保有株数が増えずに売却扱いになりました。
株式配当は、ベトナム株の醍醐味ですね。
ホアファットグループの株価が今後伸びると思う理由
私は、ホアファットに投資して、すでに投資額の3倍くらいの利益を得ていますが、今後まだまだ株価が伸びると思っています。
というのは、中国でもそうだったように、急成長している新興国は鉄鋼需要が旺盛だからです。
ベトナムは今、ポストチャイナの本命として、急速に開発が進んでいます。
少なくともあと10数年は、鉄鋼は伸びるのではないか。
と勝手に期待しています。
多角化経営しすぎでは?という懸念事項
ホアファットの懸念事項としては、多角化経営しすぎではないかということがあります。
鉄鋼、不動産、養豚、鶏卵、家電、、、
鉄鋼会社が農業も手がけているって、なんか変ですよね笑
絶対シナジー効果ほとんどないでしょ。
あと家電も。
まあ、農業はそこそこ儲かっているみたいですけど。
ビングループなどベトナムの大企業では、多角化経営はよくあることなので心配しすぎなのかもしれません。
余談ですが、ビングループは、いろんなものに手を出しすぎて、最近は迷走してる感じがしますね。
スマホ・テレビ生産、小売り事業、航空輸送事業から撤退、、、
ホアファットも、そうならないように願っています。
最後に〜ホアファットの株価の推移〜
ホアファットの株価の推移はこちら。
2021年あたりから、株価が急激に上昇しました。
最近ちょっと下げてるからチャンスかも?
いいタイミングがあれば買い増ししたいなー
新興国の鉄は熱いです。
↓日本の証券会社でベトナム株投資をするならSBI証券一択です。
↓ベトナム現地証券会社の口座開設を検討している方はこちら参照
コメント